自動化ツールと技術を活用すると、効率を高め、エラーを減らし、高品質のエンジニアリング設計をより短時間で達成できます。
エンジニアリング自動化とは、ソフトウェアを使用して反復的なエンジニアリング・プロセスを自動化することです。エンジニアリング自動化ツールは、ユーザー定義のエンジニアリング・ルールと手順に基づいてデータ、回路図、ドキュメントなどを作成します。これにより、製品開発を加速させ、さまざまな部門のエンジニアが同時に作業できるようになります。また、革新的な技術を活用して、より生産性の高い機械、設計時間の短縮、コストの削減を求める設計者のニーズを満たすことができます。
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CADにおけるエンジニアリング自動化
コンピューター支援設計 (CAD) におけるエンジニアリング自動化とは、ソフトウェア・ツールと技術を使用してエンジニアリング設計プロセスのさまざまな側面を自動化するプロセスを指します。この自動化の目的は、設計およびエンジニアリング・ワークフローにおいて反復作業を合理化し、効率を向上し、生産性を高めることです。CADにおけるエンジニアリング自動化の主な特長は次のとおりです。
パラメトリック・モデリング:
パラメトリック・モデリングにより、設計者はパラメーターと拘束条件に基づいてジオメトリのフィーチャと関係性を定義することができます。エンジニアリングの自動化で、パラメトリック・モデルを自動生成し、簡単に変更や更新ができるため、さまざまな設計バリエーションに対して作業を繰り返す際の時間と手間を省きます。
設計自動化:
設計自動化によって、事前定義したルールやテンプレート、アルゴリズムに基づいてCADモデルを自動生成します。例えば、ユーザーの入力情報や設計仕様に基づいて標準のコンポーネント、アセンブリ、構成を生成することができます。
カスタマイズおよびスクリプト:
CADソフトウェアはスクリプト (プログラミング) 機能を備えていることが多く、反復的なタスクの自動化やワークフローのカスタマイズが可能です。エンジニアは、ジオメトリ生成、データ操作、レポート生成といったタスクを自動化するスクリプトやマクロを作成できます。
エンジニアリング・ツールとの統合:
CADにおけるエンジニアリング自動化には、シミュレーション、解析、データ管理ソフトウェアなど、さまざまなエンジニアリング・ツールやシステムとCADソフトウェアとの統合も含まれます。この統合により、設計プロセスの各段階をまたいでシームレスなデータ交換とワークフローの自動化が可能です。
バッチ処理:
エンジニアリングの自動化により、ユーザーはファイル形式のバッチ変換、画像のバッチ・レンダリング、図面のバッチ更新など、CADタスクをバッチ処理化することができます。その結果、特に大規模なプロジェクトでは、手作業を大幅に削減し、生産性を向上させることができます。
標準化とテンプレート:
エンジニアリングの自動化は、標準化したテンプレート、ライブラリ、設計ガイドラインの利用を推進し、一貫性のある効率的な設計手法をサポートします。標準化したコンポーネントやテンプレートをプロジェクト間で再利用できるため、設計時間を短縮し、一貫した設計成果を確保できます。
データ主導の設計:
CADの自動化機能によって、データ主導の設計プロセスが可能になり、データ解析やシミュレーション結果、過去のパフォーマンス・データに基づいて設計判断を下せるようになります。そのため、エンジニアは定量的な指標や性能基準に基づいて設計を最適化できます。
PLMソフトウェアにエンジニアリング自動化機能を統合
製品ライフサイクル管理 (PLM) ソフトウェアの主要なコンポーネントとして、エンジニアリング自動化機能が組み込まれていることは少なくありません。PLMは、製品の構想から設計、製造、サービス、廃棄にいたるライフサイクル全体を管理する一連のソフトウェア・ツール、プロセス、手法を備えています。エンジニアリング自動化機能をPLMソフトウェアに統合する目的は、製品ライフサイクル全体にわたるさまざまなエンジニアリング・タスクとプロセスを合理化して自動化することです。
PLMソフトウェアでエンジニアリング自動化機能を使用する利点
設計自動化:
PLMシステムには、パラメトリック・モデリングやアセンブリ生成、構成管理など、設計タスクを自動化する機能が備わっていることが少なくありません。設計自動化ツールを使って、事前定義されたルール、テンプレート、標準コンポーネントを活用することで、CADモデルをより効率的に作成・変更できます。
ワークフローの自動化:
PLMソフトウェアは、変更管理や承認プロセス、ドキュメント管理など、エンジニアリング・ワークフローやプロセスの自動化を促進します。ワークフローの自動化により、タスクが適切な関係者に転送され、承認を効率的に取得し、製品ライフサイクル全体で変更が効果的に管理されます。
CAD/CAEツールとの統合:
PLMシステムを、CAD (コンピューター支援設計) およびCAE (コンピューター支援エンジニアリング) ソフトウェアと統合することで、設計、解析、シミュレーション・ツール間のデータ交換と同期を自動化します。この統合により、シームレスなコラボレーションが可能になり、設計変更が生じると関連するすべてのシステムと関係者に反映されるようになります。
製造の自動化:
PLMソフトウェアには、部品表 (BOM) の生成、経路の最適化、生産スケジューリングなど、製造プロセスを自動化する機能が備わっています。PLMシステムは、これらのタスクを自動化することで、メーカーが効率を高め、エラーを減らし、市場投入期間を短縮する後押しをします。
データの管理と統合:
PLMソリューションは、一元化したデータ管理機能によって、バージョン管理やデータ同期、データ移行など、データ関連のタスクを自動化します。エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) や顧客関係管理 (CRM) システムなどのエンタープライズ・システムと統合することで、データ交換の自動化をさらに進めて組織全体でデータの一貫性を確保します。
製品ドキュメントおよびレポートの作成:
PLMソフトウェアは、設計図、仕様書、マニュアル、レポートなど、製品ドキュメントの作成を自動化します。PLMシステムは、ドキュメント作成を自動化することで、製品ライフサイクル全体を通じて最新の正確なドキュメントを利用できるようにします。
全体として、PLMソフトウェアのエンジニアリング自動化機能は、効率の向上、エラーの削減、製品開発プロセスの加速において重要な役割を果たします。PLMシステムは、反復的なタスクを自動化し、ワークフローを効率化することで、製品の品質と完全性を保ちながら、生産性を向上させ、より多くのイノベーション創出を後押しします。
シーメンスでは、Teamcenter PLMとNX CADにエンジニアリング自動化機能を統合し、製品ライフサイクルのさまざまな段階で機能を強化し、ユーザーにさらなるメリットをもたらしています。
TeamcenterとNXにエンジニアリング自動化機能を統合したことで、設計から開発、製造、サービスまで、製品ライフサイクル全体で生産性、コラボレーション、効率を向上させます。ワークフローを合理化し、反復的な作業を自動化することで、ユーザーはイノベーションの創出や付加価値の高い作業により力を注げるようになり、市場投入期間の短縮と製品品質の向上につながります。