電子機器履歴簿 (eDHR)

電子機器履歴簿 (eDHR) は、医療機器/診断機器の製造を最新化します。電子機器履歴簿 (eDHR) は、紙をリアルタイム、エラー防止のガイド・プロセスに置き換えることで、エラーを最小限に抑えてトレーサビリティを向上させ、最終的には世界中のMD&D企業の製品の品質を高めます。

eDHRとは何か?

医療機器/診断機器 (MD&D) のメーカーは、製造製品の記録をとる必要があります。これは「機器履歴簿 (DHR)」と呼ばれます。バッチ記録やロット履歴記録と呼ばれることもあります。従来、DHRは紙の記録で維持されていました。生産トラベラーやその他のドキュメントを収集して、最終的な製造完了時の記録としてまとめていました。

紙のトラベラーとその関連文書 (SOPや図面など) を使って、製品が確実に機器原簿 (DMR) に従って製造されるようにします。紙のトラベラーを使用して、製品が仕様どおりに製造されるようにするのですが、手動の紙ベースのシステムなので、効果的なエラー防止のプロセスにはなりません。こうした手動の紙ベースのプロセスを使用していると、加工中の逸脱や不適合といった不要なリスクが生じ、それが現場で製品の品質問題となって現れる恐れがあります。それがリコール、警告書、さらには同意命令といった事態につながる可能性があることは容易に想像できます。

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利点を理解

電子機器履歴簿 (eDHR) は、不適合や間接費を減らして市場投入期間を短縮し、最終的には収益性とグローバル競争力を高める機能を医療機器メーカーに提供します。

エラー防止プロセス

一貫した品質を確保することで、製品を初回から毎回、正しく構築することができます。

プロセスの可視性を改善

生産をリアルタイムで監視、管理することで、事前に意思決定を下せるようにして、最適化すべき領域を特定し、製造ワークフロー全体の透明性を確保します。

品質問題が発生した場合の抑制管理

生産中でも稼働中でも、品質に問題がある製品を特定して分離することで、迅速に是正措置を講ずることができます。

完全な製品トレーサビリティを確保

原材料から完成品まで、各製品のライフサイクル全体を追跡して文書化し、レジリエンス (復元力) と責任能力のある生産プロセスをサポートします。

製造および規制の間接費を最小化

管理プロセスを合理化し、ペーパーワークを削減して、コンプライアンスの効率を確保します。これにより、リソース配分を改善して効率化を進め、最終的には収益性とオペレーションの俊敏性を高めることができます。

歩留まりを改善し、サイクル時間を短縮

製造プロセスを最適化することで、オペレーション効率や生産性が向上し、医療機器業界で高まる需要への対応が可能になります。

医療機器業界におけるeDHRの役割

従来のプロセスやシステムに縛られない新興のスタートアップ企業であろうと、確立した大手企業であろうと、大半の医療機器企業は「紙は完璧ではなく非効率で、エラー防止プロセスも不十分」だと認識しています。生産状況などのタイムリーな情報は提供されません。さらに、ほとんどの企業は、紙のコンプライアンスのリスクを認識しています。

電子機器履歴簿 (eDHR) は、製造実行システム (MES) 内のペーパーレスの電子システムです。生産プロセスを強化して、製造完了時の生産記録の情報をすべて取得します。eDHRは、毎回一貫した製品品質を生み出すために必要な、エラー防止とリアルタイムの可視性を提供します。製造中または出荷後に製品品質に問題が生じた場合、eDHRは、疑わしい製品を素早く抑制し、適切な措置を講じて問題を解決します。eDHRに保存された電子記録は、MD&D企業が生産プロセスを最適化する際に役立つ情報を提供します。

電子機器履歴簿 (eDHR) は、製造に関連する情報を収集します。eDHRは、紙のDHRを単に電子形式に変換したり、紙の文書をデジタルでスキャンしてスマートPDFファイルにしたりする「paper-on-glass」と混同されがちです。eDHRの真の価値は、単なる「paper-on-glass」ではなく、製造現場での確実な実行とミス防止を実現し、オペレーションをリアルタイムで正確に可視化する点です。

eDHRシステムが品質、効率、トレーサビリティに与える影響

eDHRシステムは、エラー防止のプロセスを実現し、製造オペレーションをリアルタイムに可視化して、トレーサビリティを提供します。MD&Dメーカーは、eDHRを使用してオペレーターの日常作業をガイドし、トレーニング記録が最新であること、機器が適格であること、正しい材料が使用されていること、すべてのデータが取得されていること、署名が記録されていることを確実にします。eDHRは、コンポーネントの混合や文書化の誤りなどの生産ミスを排除します。

eDHRは、テストの値や結果を取得したり、実際のコンポーネントをバーコードでスキャンしたりすることで、製造プロセスの各ポイントでデータを取得し、ミスがあった場合には警告を発します。多くのケースで、eDHRは人為的なエラーや機械的なエラーを防止できます。製品品質イベントが発生すると、eDHRは疑わしい製品の「抑制管理」に即座に対応します。影響を受ける製品は、生産中であっても稼働中であっても特定され、適切なアクションが実行されます。たとえば、加工中の製品に欠陥が見つかったら、その製品を保留にしたり、リコールの範囲を稼働中の疑わしい製品のみに縮小したりすることができます。

以前はフォルダやファイル・キャビネットに保存されていた生産データは、eDHRに取り込まれ、オンラインで安全に解析できるため、プロセスの最適化に役立ちます。製造プロセスの各ステップで、データが収集され、仕様が実行されます。生産ダッシュボード、品質ダッシュボード、KPIにドリルダウンすることで、企業全体で即座に可視化できるため、包括的なトレーサビリティが確立します。

eDHRを使用して、製品の製造プロセスを続行する前に、すべてのデータが完全で、仕様を満たすようにしなければなりません。eDHRのこの「自己監査」機能により、さらに合理的なプロセスが可能になります。eDHRは、加工 (または製造) 中のレビューなど、サイクルタイムを長引かせる、付加価値を生まない多くの作業を排除することにより、製造パフォーマンスを改善します。また、eDHRは最終レビューとリリース (品質レビュー) のプロセスを大幅に短縮します。これにより、MD&D企業は製品をより迅速に顧客に提供できると同時に、低速な紙のDHRプロセスで発生する遅延への対策として組み込んでいたWIPやFGの在庫のバッファーを削減できます。

eDHRは、生産を実行し、詳細な品質データをリアルタイムで収集するためのプラットフォームを確立することにより、一貫した製品品質を保証します。多くの場合、eDHRに保存されている貴重な情報を使用してプロセスのパフォーマンスを解析することで、より効果的な実行、エンジニアリング、品質を実現した結果として、製品の品質が向上します。eDHRシステムが、歩留まり、スループット、不適合材料のレポートを作成するため、ユーザーは全体的な視点から品質を確認できます。リアルタイム情報へのアクセスは、グローバルに、いつでも、どこでも可能なため、ユーザーはこれを使用して、是正措置と予防措置 (CAPA) を実行する必要があるかどうかを判断できます。

MD&D企業にとってのeDHRシステムの利点

eDHRシステムは、収益を改善する、優先度の高い目標を達成するのに役立ちます。大手MD&D企業も新興MD&D企業のどちらも、eDHRの利点を享受できます。グローバルMD&D企業は、不適合を減らし、間接費を大幅に削減して節約するとともに、品質問題のリスクと件数を減らせたと報告しています。新興のMD&D企業は、より効果的な実行と、リアルタイムの情報・傾向の把握により、プロセスを素早く安定させています。合理化されたエンドツーエンドのプロセスにより、すべてのMD&D企業が、製品の納期を大幅に短縮しています。その結果、レビュー/リリースまでの期間、収益をあげるまでの期間も短縮し、四半期の収益が増加しています。

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